景気低迷を背景に県内の合繊織物メーカーが減産を強いられている状況を伝える記事が、93年6月の新潟の地元紙に掲載された。「他社さんは減産かもしれないけど、ウチはフル生産ですよ」。新潟県栃尾市にある合繊の撚糸・織布・染色メーカー、鈴倉インダストリーは同業他社の苦境を知りつつ、こう言って胸を張る。通常、合繊メーカーなどの発注先が価格、発注量、販売先などの決定権を持つため、織布メーカーは不況になると、発注先から委託加工費の引き下げばかりか発注量も減らされやすい。同社の場合、生産量の七割は合繊メーカーからの発注分が占めるが、残り三割を独自の企画商品が占めるのが強みだ。専務は「注文を切られたとか値切られたとか、受け身の発想がこの業界には多過ぎる」と批判する。ファッション衣料需要動向を自らキャッチして、製品企画を立て、製造・販売の主導権を握る独自商品の育成に力を入れる。これが鈴倉の一貫した姿勢だ。